■ 大学での情報リテラシー教育の問題点
◆ 「ワードやエクセルが使いこなせるようになってよかったです。」 「・・・」
大学に入学してくる学生の情報リテラシーの習熟度はさまざまなので, 情報リテラシーの授業の内容としては, 全員に最低限習得してほしい事項を中心にすることになります。 したがって基本的なアプリケーションソフトの使い方の習得など, 狭義の情報リテラシー(コンピュータ リテラシー)に偏りがちな傾向があります。
最高学府での情報リテラシー教育としては, メディア リテラシーや情報活用能力の指導にもっと重点を置くべきでしょう。
◆ 大学にいる先生のリテラシーの方がむしろ心配だったりする
情報技術関連の知識や利用態度というのは, 世代間で意識の違いが大きいもので, それは大学においても同じです。
学生の情報リテラシー向上だけでなく, (情報リテラシー科目担当およびそれ以外の) 教員の情報リテラシー向上も図らないと, 学生が教員と接する場面で食い違いが生じたり, さらに悪いことには教員の間違った知識や意識にひきずられて, 学生が持っている情報リテラシーを充分活かし切れないことも起こり得ます。
◆ 教える教員の趣味によって内容が偏ることがある
本来の(広義の)情報リテラシーの内容の全てを 専門的に研究している教員はほとんどいません。 どうしても,その教員が興味を持つ事項が授業の中心になってしまいがちです。
大学として,何を情報リテラシーの授業で教えるべきかをはっきりさせて, 担当教員にそれを全て授業で教えるようにしてもらないといけません。
- 教科書やコンテンツを全て共有して同じ物を使う
- 課題やテストを同じにするなど,評価方法を統一する
- シラバス(授業の内容)を統一するか,最低限やるべき事項は必ず含めてもらう
◆ いわゆる 2006年問題(高校新カリキュラムへの対応)
「高校での情報リテラシー教育」の回でも書きましたが, 2003年4月から高校では,教科「情報」が必修科目として実施されています。 2006年4月からは, 大学に入学してくる学生は, 全員が教科「情報」の授業を受けた学生です。
いままで大学の情報リテラシーの授業で教えていたことを 既に高校で習得している場合も考えられますので, 大学によっては,高校にアンケート調査を行い, 情報教育の実施実態を詳細に調査しているところもあるようです。
高校によって教科「情報」の授業で行っている内容は必ずしも充分でないことも考えられ, 実際の学生の習熟度は見極めないといけませんが, 大学での情報リテラシー授業として, 高校での授業を踏まえ,さらにアドバンスの内容として何を教えるべきかを 今後検討する必要があります。
大学での情報リテラシー教育に対して, あなた自身の体験も踏まえ,提案や提言,コメントなどを 200字程度で述べてください。